不動産担保ローンを返済できなくなった時のベストな解決法とは?

不動産担保ローンを返済できなくなった時のベストな解決法とは?

質問1

不動産担保ローンの返済がどうしても難しくなりました。
延滞が続き、この先支払いの見込みがありません。
最後はどう対処すればいいでしょうか?

回答

すでに返済不能が現実味を帯びている状況ですね。対処法としては大きく二つの方向性があります。
  • 担保不動産を処分してローンを清算する。
  • 法的手続きを利用して債務を整理する。

多くの場合、この二つを組み合わせる形になります。

(1) 担保不動産の処分(任意売却 or 競売)による清算

不動産担保ローンは担保がある分、最終的にはその担保を売却して返済に充てることができます。

返済が不可能なら、まず担保を手放して借金を減らすのが一番です。

可能なら競売ではなく任意売却で売るのがおすすめです。

任意売却なら市場価格に近い値段で売れやすく、残債を少なくできます。

また引越し時期や費用についても融通が利きます。

金融機関に「もう返済できないので売却したい」と相談すれば、十中八九任意売却の提案がなされるでしょう。

売却代金でローンの大部分(または全部)を清算できますが、仮に売却してもローンが残った場合その残債は無担保の借金となります。

この場合、金融機関との交渉次第ですが、通常は長期の分割払いに切り替えるか一部免除を含む和解を行うかになります。

少しでも返せる見込みがあるなら分割返済(利息をゼロまたは低くしてくれることもあります)、全く払えない状況なら債務免除を求める交渉です。

ただ、債務免除には税金の問題(一時所得として課税)も絡むため、現実には「月○万円ずつでいいから払ってください」といった和解になることが多いようです。

債務者が高齢で収入がない場合では、事実上回収を諦め凍結する場合もあります。

もし競売になってしまった場合は、競売による売却代金が強制的に充当されます。

競売価格は市価の7~8割程度とも言われますので、ローン残高次第ではかなりの残債が残るかもしれません。

競売後の残債も、債権者は諦めず請求してきます。

その場合も分割や減免交渉の余地はありますが、競売まで行くと金融機関も強硬ですので、より厳しい取り立てになる可能性があります。

やはり任意売却できるならその方がよいのです。

(2) 法的手段(債務整理)による残債処理

担保を処分してもなお返済不能な借金が残った場合、もはや法的な債務整理を検討すべき段階です。

債務整理には大きく3つあります。

1、任意整理

裁判所を使わず、債権者と直接交渉して返済計画を練り直す方法です。

例えば「残債300万円を将来利息ゼロにして5年かけて分割返済させてください」と交渉します。

債権者(金融機関)がそれで合意すれば、裁判所の手続きなしで和解契約を結びます。

信用情報は事故扱いになりますが、財産を手放す必要はありません。

ただし任意整理は無担保債務が対象になるため、担保処分後の残債で利用する形です。

なお、収入がなければ任意整理案自体が作れません。ある程度返せるめどがある人向けです。
2、個人再生(個人版民事再生)

裁判所に申し立て、借金を5分の1程度(※債務額によります)に圧縮してもらい、原則3~5年で返済する計画を立てる手続きです。

住宅ローン特則を使えばマイホームを残したまま他の借金を減額できます。

ただ今回のケースでは家は既に処分済みでしょうから、残債(無担保債務)に対して再生手続きを利用する形です。

再生手続きが認可されれば大幅に借金が減り、3年程度で完済できます。

例えば残債600万円を再生で120万円に圧縮し、3年で返済といった具合です。

個人再生も安定収入が必要ですが、任意整理より踏み込んだ減額が可能です。
3、自己破産

裁判所に申し立てて債務を全額免除してもらう手続きです。

免責許可が下りれば、残っている借金は一切支払わなくて良くなります。

財産は原則処分されますが、不動産は既にないので主な財産がなければ比較的スムーズです。

保証人が付いている借金が残っていると保証人に請求が行くなどの影響はありますが、ご自身は返済義務から解放されます。

デメリット資格制限(破産手続中、一部の職業に就けない)や、官報公告信用情報への長期事故登録(約10年)などです。

しかし生活再建を優先するなら有力な選択肢になります。

債務整理をすると信用情報への影響は避けられません。

任意整理や個人再生でも約5~7年、自己破産なら最長10年は新規借入が困難になります。

ただ、一度借金をリセットすれば、その後は徐々に信用も回復できます。

何より生活を立て直すことができます。

借金を払えない自分」が抱える心理的重圧から解放される意味でも、法的整理は前向きな再出発の手段と言えます。

質問2

債務整理は自分でもできますか?

回答

手続きそのものは可能ですが、現実的には弁護士や司法書士に依頼することを強くおすすめします。

専門家に依頼すれば、債権者との交渉や裁判所への書類作成・提出を代行してくれます。

費用はかかりますが、分割払いに応じてくれる事務所も多いですし、法テラスの民事法律扶助制度(収入要件がありますが)を利用すれば費用の立替えや減額も可能です。

素人が一人で自己破産や再生の申立書を書くのは相当大変なので、可能であればプロに任せましょう。


質問3

家族や保証人への影響はどうなりますか?

回答

担保提供者や連帯保証人がいるローンの場合、その人にも迷惑が及びます。

担保提供者には競売や任意売却で不動産処分の協力を仰ぐことになりますし、保証人には債務整理後に債権者から請求が行きます。

自己破産してあなたの債務が免除されても、保証人の支払い義務は消えません。

保証債務も債務整理すれば別ですが、その保証人自身がまた手続きしないといけません。

ですから、保証人が親族の場合は特に、事前によく話し合っておきましょう。

最善策は保証人ごと巻き込んで一緒に債務整理することです。

例えば親が保証人なら、親御さんも自己破産する覚悟で臨めば、結果的に保証債務からも解放されます。

ハードルは高いですが、そこまでオープンにできるならベストです。


質問4

最終的に自己破産するとして、家族にバレますか?

回答

自己破産は官報に氏名が載りますが、一般の人が官報を見ることはまずありません。

ただ、破産すると借金取りからの督促が止まったり、郵便物が破産管財人経由になったりと、身近な人にはいずれ気づかれるでしょう。

特に配偶者には隠し通すのは難しいで、事情を説明し協力してもらうのが現実的です。

恥ずかしいことではありません。

今後の生活立て直しのために必要なプロセスと割り切りましょう。


質問5

債務整理後、また家や車を持てますか?

回答

債務整理で一旦信用情報は真っ黒になりますが、時間が経てば住宅ローンを組めた例もありますし、キャッシュで購入する分には全く問題ありません。

自己破産しても数年経てば車のローンを組めたという話もあります。

金融事故情報が消える5~10年は我慢が必要ですが、その間にお金を貯めておけばむしろローンに頼らず家を買えるかもしれません。

実際、過去に自己破産した人がその後マイホーム購入を果たしたケースも珍しくありません。

大事なのは、二度と無理な借金をしないよう生活を改善することです。

債務整理はゴールではなく再スタートです。

しっかり更生すれば、十分巻き返しは可能ですよ。

まとめ

返済が難しくなったら、「担保を手放してでも借金を減らす」そして「残った借金は法的に整理する」という二段構えで対処しましょう。

苦渋の決断ではありますが、早めに動けば競売で何もかも失うより被害を減らせます。

専門家の力も借りつつ、人生の立て直しを図ってください。

借金問題は適切に対処すれば必ず解決できます。
焦らず、しかし迅速に行動することが肝心です。