不動産担保ローンは、自分の持っている土地や建物といった不動産を「担保」にして資金を借りるローン商品です。
例えばお持ちのマイホームや土地を金融機関に差し出すことで、「万一返済できなくてもこの不動産を売れば回収できる」という安心材料になります。
そのため、無担保ローンに比べて借入限度額が大きく、金利も低めに設定されるのが特徴です。

不動産担保ローンは、資金使途が原則自由なローン
不動産担保ローンは、事業資金や医療費、教育費、他の借入の一本化(いわゆる「おまとめ」)、旅行やリフォーム資金など、 使い道に制限がほとんどありません。
借りたお金の用途は問われず、必要に応じて柔軟に利用できます。

つまり、「自宅を担保にして事業を立ち上げたい」「親が残してくれた土地を担保にして急な医療費にあてたい」といったニーズにも応えられる融資商品なのです。
では、具体的に「不動産を担保に入れる」とはどういう意味でしょうか。
簡単に言えば、自分の不動産に金融機関が抵当権(ていとうけん)を設定することです。
抵当権とは、その不動産を売却して得た代金から優先的に返済を受ける権利のことです。

この抵当権はローンを完済すれば抹消できますが、万一返済不能になった場合は金融機関が抵当権を行使し、その不動産を競売にかけて売却代金から貸金を回収することになります。
ポイントは、ローン返済中も不動産の所有権は自分にあり、住み続けたり賃貸したりといった利用は基本的に自由だということです。
あくまで権利上担保に入っているだけなので、通常は今まで通り不動産を使い続けられます。
不動産担保ローンの取り扱いは銀行からノンバンク(消費者金融や信販会社などの貸金業者)まで幅広く、日本全国どの地域の不動産でも対応可能な商品が多いです。
たとえば都市部だけでなく地方の田舎の土地でも、価値が認められれば担保にできます。
金融機関によっては古い築年数の物件や、既に他のローンが付いている不動産(第二抵当)、さらには家族名義や法人名義の不動産でも担保提供が可能な場合があります。
自分が所有者でない不動産でも、所有者(親族や関連会社)の同意と署名を得て担保に差し入れることができる場合もあるのです。

不動産担保ローンの仕組みはこうなっている

担保にできる不動産を所有していること
土地、戸建て住宅、マンション一室、アパート一棟など種類は問いません。
農地など一部制約物件を除き、基本的に換金性の高い不動産であればOKです。
不動産の評価額に応じて借入可能額が決まる
金融機関は担保物件を評価し、「担保評価額」を算出します。
この評価額の範囲内(一般に評価額の6~8割程度が上限)で融資額が設定されます。
借入金利は有担保ローンならではの低金利
同じ借入額でも無担保ローンよりかなり低い金利が適用されます。
ただし住宅購入ローンほどの超低金利ではなく、貸し手や借り手の条件によって幅があります。
返済期間は比較的長期
最長で20~30年程度の長期分割返済が可能な商品もあり、毎月の返済負担を抑えて借りることができます。
契約違反時のリスク
返済が滞ると契約上「期限の利益を喪失」し、一括返済を求められます。
それでも支払い不能の場合、担保不動産の競売・任意売却へと進み、最終的に不動産を失うリスクがあります。

初心者の方は「自宅を取られてしまうのでは?」と不安に思われるかもしれませんが、きちんと返済を続けている限り自宅を失うことはありませんし、利用中も自分の財産として手元に残ります。
要は「不動産という強力な後ろ盾を使って有利にお金を借りる方法」なのです。
そのぶん「もしもの時には不動産を明け渡す覚悟も必要」というリスクと裏腹になっています。
実際には、不動産担保ローンは中小企業の経営者や個人事業主が事業資金の調達に利用したり、急な出費に備えて資金を借りる手段として広く使われています。
「担保ローン」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、正規の金融機関が提供するローン商品であり、違法な高利貸しとは異なります。
大手銀行も提供していますし、信販系やノンバンク系の会社も積極的に商品展開しています。
一例を挙げると、「楽天銀行」の不動産担保ローンは金利年1.64%~10.40%(2025年5月現在)で最大1億円未満の融資が可能となっています。
このように銀行系は比較的低金利ですが、審査が厳しい傾向があります。

初心者へのアドバイス
不動産担保ローンはメリットも大きい反面、リスクもゼロではありません。
大切なのは「借りすぎないこと」と「将来の見通しを立てて計画的に利用すること」です。
担保があるからと安心して必要以上に借りてしまうと、返済が苦しくなって思わぬピンチに陥る可能性があります。
