埼玉県在住の高橋さん(仮名70歳男性)の場合
長年勤めた会社を退職し、年金暮らしを始めましたが、趣味や旅行を楽しむには十分とは言えない老後資金に不安を感じていました。
高橋さんには持ち家があり、子供たちも独立しているため、資産の多くはその自宅に集中しています。
「この家に住み続けながら、老後資金を手に入れられないだろうか?」と考え、銀行に相談したところ「リバースモーゲージ」という商品を紹介されました。

原則65歳以上を対象に、存命中は利息のみを支払えばよく、元本は亡くなった後で精算されます。
高橋さんは自宅評価額に基づいて設定された限度額内で、必要な生活資金を毎月引き出せるこの仕組みに魅力を感じました。
子供たちも「家は相続しなくて良いから、生活に充てて」と快く背中を押してくれたため、高橋さんは地元銀行のリバースモーゲージ契約を結びました。
契約後、高橋さんは月々の利息だけ支払いながら、自宅に住み続けつつ老後資金を受け取っています。
おかげで旅行に出かけたり、趣味の園芸を充実させたりと、ゆとりある生活を送ることができています。
「持ち家のおかげで第二の人生の資金が確保できました。子供たちにも余計な負担をかけずに済んで安心です」と話します。

ただし、高橋さんは契約にあたって注意も払いました。
リバースモーゲージには担保価値に応じた貸付限度額があり、もし大幅に借りすぎて価値を超過すると一括返済を求められる場合もあると説明を受けています。
そこで借入額を必要最小限にとどめ、金利変動にも備えて無理のない範囲で利用しています。

このように、不動産担保ローンの中でもリバースモーゲージは、高齢者が自宅に住みながら資金を得る安全な手段と言えます。
一方で「自宅を子孫に残したい」「夫婦どちらかが亡くなった後も住み続けたい」という場合には注意が必要です。
実際に配偶者への引継ぎができないリバースモーゲージを途中で通常の不動産担保ローンに借り換えて、自宅を守ったご夫婦の例もあります。
