不動産担保ローンは銀行系とノンバンク系どちらが有利?金利・審査基準・融資条件を徹底比較!

不動産担保ローンは銀行系とノンバンク系どちらが有利?

不動産担保ローンを提供している金融機関は、大きく分けて銀行系ノンバンク系に分類できます。

銀行(都市銀行・地方銀行・信託銀行など)と、ノンバンク(消費者金融会社や信販会社、貸金業者)は、それぞれ融資のスタンスや条件に特徴があります。

こちらでは、銀行とノンバンクの不動産担保ローンの違いを比較してみましょう。

まず前提として、ノンバンクとは何か?

簡単に言えば「銀行のように預金を扱わず、融資業務のみを行う金融機関」のことです。

具体例としては、信販会社(クレジット会社)やクレジットカード会社、消費者金融会社などがノンバンクに該当します。

不動産担保ローン市場では、銀行系列のローン会社(例: ○○銀行グループのローン専門会社)や、独立系の貸金業者が多数参入しています。

それでは本題の比較に入ります。

1. 金利水準と融資条件の違い

銀行の金利は低め、ノンバンクの金利は高め

一般に、銀行系不動産担保ローンのほうが金利は低く設定されています。

銀行は年1~5%台くらいの範囲の商品が多いです。

一方、ノンバンクは金利がやや高めになる傾向で、下限で3~5%上限は12~15%程度の商品も珍しくありません。

たとえば、ある銀行では最低金利1.0%前後のプランがあるのに対し、ノンバンクでは2.5%前後からとなっているという比較もあります。

つまり同じ担保ローンでも金利面では銀行が有利なことが多いです。

ただし、銀行系でも信用度に応じて上限は8~10%台になる場合もありますし、ノンバンクでも優良顧客には5%以下で貸すケースもあります。

金利の幅が広いのがノンバンクとも言えます。

融資額の上限

銀行系では上限1億円程度のところが多いです。

対してノンバンク系は上限5億円程度まで設定している会社もあります。

例えば○○信用組合が1億円までなのに対し、△△ファイナンスというノンバンクでは5億円までOK、というようなケースです。

大口になればなるほど、ノンバンクの方が柔軟に対応してくれる可能性があります。

融資期間

これは銀行・ノンバンクで明確な差はありませんが、銀行は最長25~30年に設定することが多く、ノンバンクも商品によっては20~30年で設定しています。

ただし、銀行のほうが長期固定金利などの商品バリエーションが豊富な傾向があります。

一方、ノンバンクは期間10年以内の短期・一括返済タイプの商品も扱っていたりします。

要は、銀行=長期安定志向、ノンバンク=短期含め柔軟といった違いです。

2. 審査基準と通過率の違い

銀行は審査厳格、ノンバンクは審査柔軟

銀行はどうしても審査基準が厳しめになります。

貸倒れを極力避けるため、担保評価はもちろん借り手の信用(収入や返済比率、クレヒス)をしっかり見ます。

提出書類も多く、時間もかかりがちです。

一方、ノンバンクは独自基準で柔軟な審査をするところが多いです。

例えば「多少収入に不安があっても担保価値重視で貸す」「赤字決算でも将来性を見て貸す」「過去に金融事故があっても担保あれば前向きに検討」など、ケースバイケースで判断します。

審査通過率もノンバンクの方が高いと言われています。

もちろんノンバンクでも無制限に甘いわけではなく、最低限の基準はありますが、銀行で断られた人でもノンバンクなら通ったという話はよくあります。

審査スピード

銀行は支店稟議や本部決裁などプロセスが長く、審査期間が長めです。

早くても2週間、多くは1ヶ月前後を要します。

ノンバンクは社内フットワークが軽く、審査が速いことが多いです。

自社で物件査定を完結できる体制を持ち、即断即決してくれる場合もあります。

急いで資金が欲しい時はノンバンクに分があります。

ただしノンバンクでも、審査が速いということは裏を返せば慎重さに欠ける場合もあります。
極端に即決する業者はかえって怪しいケースもあるので注意が必要です。

取扱物件の柔軟性

銀行はどうしても「質の良い担保」に絞る傾向があり、担保物件に制限がある場合があります。

例えば地方の山林などまず扱いませんし、二番抵当も嫌がります。

ノンバンクは「銀行が担保にできない物件を担保にできることがある」とされ、再建築不可物件や古家付き土地、二番抵当でも前向きに検討してくれる場合があります。

つまりノンバンクは物件の種類に関しても柔軟で、「ウチならではの視点」で評価してくれる可能性があります。

3. 法規制上の違い(総量規制の有無など)

総量規制

これが銀行とノンバンクの決定的な違いです。

ノンバンクは貸金業法が適用され、総量規制の対象となる場合があります。

すなわち、自宅を担保とする個人向け不動産担保ローンでは年収の1/3までしか貸せません。

一方、銀行は銀行法のもと営業しており総量規制の対象外です。

したがって自宅を担保にしても年収制限なく貸せます。

例えば年収300万円でも担保価値次第で1,000万円以上借りられる可能性が銀行にはあります。

しかしノンバンクでは原則100万円程度が上限になってしまいます。

ただしノンバンクでも、担保が自宅以外(例えば親の土地や賃貸用不動産)の場合や、事業性融資と位置付けられる場合は総量規制除外貸付となり年収制限関係なく借りられるケースもあります。

要は、「自宅担保なら銀行有利、事業目的ならノンバンクもOK」と覚えておくと良いでしょう。

信用情報と記録

銀行融資とノンバンク融資では、信用情報機関への記録のされ方が若干異なることがあります。

銀行は主に全国銀行個人信用情報センターやJICCノンバンクはJICCやCICなどに登録します。

基本的にはどちらも信用情報に借入額等が載る点は同じですが、世間一般には銀行から借りている方が信用イメージは良いとも言われます。

逆にノンバンク(消費者金融系)から大口借入があると、後々他の銀行融資でマイナスに見られる可能性もなくはありません。

極端に気にする必要はありませんが、将来住宅ローンを組むとか他の融資を受ける予定がある場合、その辺りも頭に入れておきましょう。

4. 顧客対応やサービスの違い

銀行の信頼感 vs ノンバンクの親身さ

銀行はやはり大手の看板があり安心感は抜群です。

金利も低く、まともな契約でトラブルも少ないでしょう。

ただ、その反面「事務的で融通が利かない」「審査に落ちても理由を詳しく教えてくれない」といった声もあります。

ノンバンクは中小企業的な機動力があり、「社長が直接相談に乗ってくれた」「柔軟にスケジュール調整してくれた」など親身な対応を評価する声があります。

一方で、中には強引な取り立てや督促をする悪質業者も存在するため、会社選びは重要です。

知名度や口コミを確認し、信頼できるノンバンクかどうか見極める必要があります。

サービス面

銀行は団体信用生命保険(団信)の付帯など、住宅ローンではよくあるサービスも、不動産担保ローンではあまりありません(住宅取得目的ではないので団信は通常付きません)。

一部銀行では任意で団信に加入できる場合もありますが稀です。

ノンバンクでもそのような保険サービスはありません。

むしろ、繰上返済手数料などに差があり、銀行は無料または実費程度、ノンバンクは多少手数料がかかることもあります。

借入後のアフターサービスという面では銀行のほうがシステマチックで、ノンバンクは人ベースの柔軟対応といった違いでしょう。

銀行とノンバンク、どちらを選ぶべき?

ケースバイケースですが、以下のような基準が考えられます
  • 低金利で借りたい、属性に問題ない 銀行系をまず当たる。時間に余裕があれば複数銀行に相談。
  • 銀行で断られた、または属性に不安がある ノンバンク系にも積極的に相談。
  • 借入額が小さい(数百万~) 銀行だと相手にされにくいことも。ノンバンク系の方が親身。
  • 借入額が極めて大きい(数億円) 銀行の融資姿勢次第だが、ノンバンク系複数でシンジケート的に借りる手も。まず銀行相談、その後ノンバンク検討。
  • とにかく急いで資金が必要 ノンバンクのスピードに期待。ただし、急ぎすぎて悪質業者に引っかからないよう注意。
  • 自宅を担保にしたい 年収に対する必要額が大きいなら銀行が有利(総量規制なし)。年収範囲内ならノンバンクでもOK。
  • 地方物件を担保にしたい 地域の地銀や信金(銀行系)が詳しいことも。ノンバンクでも全国対応を掲げる会社はある。
  • 既存ローンの借換やおまとめ ノンバンクは「おまとめローン」に積極的。銀行は消極的なので、借換目的ならノンバンクが現実的。

注意点

ノンバンクを利用する際は、必ず貸金業登録の有無を確認しましょう。
正規の業者は都道府県知事または金融庁に登録されています。
登録番号の明記がない業者は闇金融の可能性があります。

また口コミや評判もネットで調べ、悪評がないかチェックすることをおすすめします。

最近では大手企業グループのノンバンクもあり、そうしたところは比較的安心できます。

例: オリックスグループ、SBIグループ、新生銀行グループなどの会社。


まとめ

銀行とノンバンクには一長一短があります。

金利の銀行柔軟性のノンバンク、といったところです。

理想は銀行で好条件を引き出すことですが、誰もがそれを実現できるわけではありません。

自分の置かれた状況に応じて、両者をうまく使い分けましょう。

場合によっては最初ノンバンクで借りて実績を作り、後で銀行に借り換えるという戦略もあります。

実際「最初はノンバンクの高い金利でスタートしたけど、1年後に銀行ローンに借り換えて金利が下がった」なんて例もあります。

最終的には返済完了まで見据えて、どのルートが最善か考えることが大切です。