不動産担保ローンの返済方式にはいくつか種類があります。
それぞれの方式にメリット・デメリットがあり、借り手の状況や希望に応じて選択されます。

元利均等返済とは?
元利均等返済は、毎回の返済額(元金+利息)が一定になるよう計算された返済方式です。
例えば毎月の返済額が5万円と決まれば、返済期間中ずっと5万円ずつ払っていきます。
(最後の回だけ端数調整あり)

元利均等返済の特徴
(1)返済額が一定で計画を立てやすい。
家計管理しやすく、将来の支出見通しが明確です。
(2)支払い開始当初は利息分の占める割合が高い。
毎回一定額の中からまず利息が引かれ、残りが元金返済に充てられるため、初期は元金があまり減りません。
返済が進むにつれて利息が減り、元金部分が増えていきます。
(3)総支払利息がやや多くなる。
元金均等返済と比べると、元金の減りが遅いぶん利息期間が長くなり、結果として支払う利息総額は多めになります。
ただ計画のしやすさとのトレードオフです。
向いているケース
収入が安定しており、毎月決まった額をコツコツ払っていきたい人。
長期のローンでは大半この方式です。
多くの不動産担保ローン商品で採用されています。
元利均等返済の例
1,000万円を年5%・15年元利均等で借りた場合、毎月の返済額は約7.9万円です。
その内訳は初回では利息約4.2万+元金3.7万、最終回近くでは利息わずか数千+元金7万超、という具合に推移します。
元金均等返済とは?
元金均等返済は、毎回の元金返済額が一定となる方式です。
たとえば元金1,000万円・期間10年なら毎月元金は8万33円ずつ返済し、そこにその都度の利息が加わった額を支払います。

元金均等返済の特徴
(1)返済初期の負担が大きい。
元金部分は均等でも、初期は残高が多いので利息も多額になります。
最初の返済額が最大で、回を追うごとに逓減していきます。
(2)総支払利息が少なく済む。
元金を早く減らせるため、その後発生する利息が減り、トータル利息は元利均等より低く抑えられます。
(3)借入当初の資金計画に余裕が必要。
最初の支払いがピークになるので、その段階で無理なく払える金額でないと厳しいです。
向いているケース
収入に将来減少リスクがある人(例えば定年前に多く払い、定年後負担減らすなど)や、利息を極力節約したい人。
また、借入期間を短めに設定できる場合など、初期負担に耐えうる場合に選択されます。
ただし不動産担保ローンでは元利均等が多く、元金均等はあまり採用例が多くありません。希望すれば対応してくれる金融機関もあります。
元金均等返済の例
1,000万円を年5%・15年元金均等で借りた場合、初回返済額は元金約5.56万+利息約4.17万=約9.73万円。
最終回は元金5.56万+利息約0.02万=5.58万円となります。
総利息は約770万円で、元利均等返済(同条件で総利息約820万円)より50万円ほど少なくなります。
期限一括返済とは?
期限一括返済は、借入期間中は利息だけを支払い、元金は契約終了時に一括で返す方式です。
短期のブリッジローン(つなぎ融資)などで採用されます。

期限一括返済の特徴
(1)期間中の月々の負担が利息分のみなので小さい。
元金を払わないぶん、毎月のキャッシュフローが楽になります。
(2)満期時に元金をまとめて用意しなければならない。
満期時までに売却や他の資金調達で元金を確保できる見込みが無いと危険です。
(3)借入期間が短期であることが多い。
長期で利息のみ払いは金融機関もリスクが大きいので、1年以内や数年程度の契約に限られる場合が多いです。
向いているケース
もうすぐ大きなお金が入る確定予定がある人が、それまでのつなぎで借りる場合。
例えば「半年後に不動産を売却する予定なので、それまで利息だけ払い借りておく」などです。
また事業者が数ヶ月後の売掛金入金を待つ間の運転資金として使うことも。
この方式は一般個人より事業者向けや不動産売買のブリッジローンで多用されます。
期限一括返済の例
3,000万円を年8%・半年間、利息のみ月払いで借りた場合、毎月の利息は20万円。(年8%÷12×3000万)
半年後に元金3000万円を一括返済。
もし半年後返せなければ契約延長交渉や、最悪競売へ…となりかねません。
元利均等ボーナス併用返済とは?
元利均等ボーナス併用返済は、元利均等返済にボーナス月増額を組み合わせた方式です。
住宅ローンでは夏・冬にボーナス払いを併用するケースがあります。

元利均等ボーナス併用返済の特徴
(1)年間の返済額配分を調整できる。
ボーナス月にまとまった額を返すことで、平月の負担を軽減できます。
(2)総利息は支払いスケジュール次第。
ボーナス併用であっても計算上は通常の元利均等と同じくらいの利息総額になります。
ただボーナス部分で元金を多めに返せばその分利息減となります。
(3)ボーナス(臨時収入)が減ると計画が狂う。
万一ボーナスが出なかったり減額された場合、想定通り返済できないリスクがあります。
事業の繁閑に合わせて設定する場合も同様です。
向いているケース
個人ではサラリーマンで年2回のボーナスが確実にもらえる人。
ただ、不動産担保ローンは事業・自由資金用途が多いので、住宅ローンほどボーナス併用の利用率は高くないでしょう。
事業者の場合、例えば「繁忙期の秋に売上が集中するのでその時多め返済」という計画を立てられれば有効です。
その他特殊な返済方式
リバースモーゲージ型
高齢者向けに自宅を担保にお金を借り、生存中は利息だけ支払い、亡くなった後に一括返済(自宅売却などで)する方式です。
これは老後資金用途で自治体や一部銀行が扱う特殊ローンです。
不動産担保ローンの一種ですが、通常のローンとは性質が異なります。
毎月の返済負担が軽く、死後清算する形なので老後資金対策になりますが、利息が元金に組み込まれる商品もあり負債が増えるリスクもあります。
ステップ返済
最初のうちは利息のみで途中から元利均等に切り替え、といった段階的返済方式。
あまり一般的ではありませんが、事業融資では当初据置期間を設ける形で実質段階返済とすることもあります。
不動産担保ローンでは多くの場合、元利均等返済で案内されます。
ただ、事業性融資やブリッジローンでは期限一括返済(利息のみ払い)も頻繁に登場します。
銀行系は元利均等が中心、ノンバンク系は利息先払い・元金一括といった柔軟なプランも提示してくれることがあります。
契約前に、「毎月どの方式でいくらずつ返すのか」「最終回はいくらか」などシミュレーションをしっかり確認しましょう。

繰上返済の活用
いずれの方式でも、余裕ができたら繰上返済して元金を減らすと利息負担を軽くできます。
特に長期の元利均等では繰上返済の効果が大きく、期間短縮すれば総利息を大幅削減できます。
繰上返済手数料が無料かどうかも確認ポイントです。

返済方式についてのまとめ
返済方式はライフプランに大きく関わります。
毎月一定が良いのか、初期に頑張って後を楽にするか、一時的に利息だけで乗り切るか、自身の収入見通しや性格に合わせて選択しましょう。
