自分の不動産は担保にできる?不動産担保ローンで「使える物件・使えない物件」の違いを解説

自分の不動産は担保にできる?

自分の持っている不動産は担保になるのだろうか?」不動産担保ローンを検討する際、多くの方が疑問に思うポイントだと思いますです。

担保にできる不動産には一定の条件種類があります。

こちらでは、どんな不動産が担保提供可能で、どんな不動産が難しいのかを整理してみましょう。

基本的には、お金に換えやすい不動産であれば担保にできます。
具体的な種類とポイントを一覧にします。

担保にできる主な不動産の種類とは?

居住用住宅(土地・建物)

一戸建て住宅マンションなど、自ら居住しているマイホームは代表的な担保不動産です。

都市部の持ち家であれば、多くの金融機関が担保対象として歓迎します。

ただし築年数が極端に古い住宅は建物価値がほぼゼロと見做され、実質土地のみの評価になることがあります。

また再建築不可物件(法律上建て替えのできない土地に建つ家など)は流通性が低いため、敬遠される傾向があります。

土地(更地・宅地)

上物(建物)のない土地担保価値があります。

特に都市部や住宅地の更地は需要が高く、買い手が付きやすいため換金性が高いと評価されます。

広大すぎる土地や変形地は評価が割り引かれることも。

また市街化調整区域の土地は建物が建てられず需要が限られるため、評価が低めです。

投資用不動産(賃貸中のアパート・マンション一棟など)

家賃収入を生む収益物件も担保にできます。

評価方法としては、土地建物の積算価格に加えて収益還元法での査定も行われ、「この物件から生み出される収益価値」に着目した評価がされます。

満室想定利回りなどを基に評価額が算出されることもあります。

賃貸中の場合、万一競売になっても投資家への売却が見込めるため、比較的評価は安定しています。

ただし空室率が高かったり老朽化が激しいアパートなどは、期待通りの価格で売れない可能性があり掛目が厳しくなることがあります。

区分所有マンション(マンションの一室)

分譲マンションの一室も担保提供可能です。

特に都心部のマンションは取引事例も多く評価しやすいため、積極的に受け入れる金融機関が多いです。

ただし権利形態が借地権付きマンション(土地が借地で建物だけ所有)だったり、管理状態が悪いマンション(管理費滞納が多いなど)は評価減点となる場合があります。

また築年数が相当古いマンションも注意です。

店舗・事務所ビル

自社ビルテナントビルなども担保になります。

これも収益物件と同様に賃料収入や立地によって評価が決まります。

商業地の店舗ビルは高額査定も期待できますが、地方でテナント付が難しい物件などは評価が辛くなります。

工場・倉庫

工業系の不動産も担保可能ですが、特殊用途ゆえに汎用性が低い建物だと買い手が限定されます。

例えば郊外の大規模工場は、その企業以外では使えず売却しづらいので評価が低めです。

一方、標準的な倉庫や小規模工場用地なら流通性があります。

別荘・リゾート物件

別荘地の家リゾートマンションも担保に取るケースはあります。

ただ、需要が限られるため掛目(融資率)は低く抑えられる傾向です。

流動性が低いと判断されれば、そもそも融資自体難しいこともあります。

駐車場用地

駐車場として利用中の土地も、更地に近い扱いで担保となります。

コインパーキング運営等の収益がある場合、それも加味されます。

底地・借地権

これは少し特殊ですが、地主が持つ底地(貸している土地の権利)や借地権そのものを担保にする場合もあります。

ただし権利関係が絡む物件は敬遠されやすいです。

借地権は単独では売却しにくく、底地も借地人との関係調整が必要なので、評価はシビアになります。

農地・山林

原則として農地は担保にしにくいです。

農地法で保護されており、競売で売るにも農業委員会の許可が必要など流通が制限されるためです。

そのため多くの金融機関は農地を担保対象外とします。

ただし農地を宅地等に転用する許可を得ている場合などは評価対象になることもあります。

山林も買い手が少なく換金価値が読みにくいので難しい部類です。

共有名義の不動産

共有者全員の同意があれば共有不動産も担保提供可能です。

例えば親子共有の土地を子が単独で担保に入れることはできませんが、親にも連帯保証や書類への署名をしてもらえば可能になります。

もっとも手続きが煩雑になるため、共有持分だけでは嫌がられる傾向があります。

親族名義や法人名義の不動産

自分以外の名義の不動産でも所有者が協力すれば担保にできます。

例えば親の土地を子供の借入のために提供する場合や、自分の会社名義のビルを個人の借入に提供する場合などです。

この場合、所有者は物上保証人として契約に参加します。

金融機関によって対応は異なりますが、「家族名義OK」「法人所有OK」と明示しているところもあります。

以上、さまざまな種類を挙げましたが、まとめれば「市場価値があり売却しやすい不動産なら担保になりうる」ということです。

逆に次のような不動産は難しいです。

担保にできない(難しい)不動産の例

換価性の低い物件

需要が少なく売りにくい不動産は敬遠されます。

例えば極端な過疎地の一軒家老朽化が進んだ空き家再建築不可の土地用途が特殊すぎる建物(城や教会のような一般用途外建築)などです。

こうした物件は買い手を見つけるのが困難と考えられ、担保価値がほぼ認められません。

法律上利用制限のある土地

前述の農地のほか、保安林なども該当します。

保安林は勝手に用途変更できず森林としてしか使えないため、「将来的に宅地等に転用できない価値が限定的」となります。

他にも文化財指定地や土砂災害警戒区域内の土地など、取扱注意な不動産は嫌われます。

権利関係に問題がある物件

訴訟中の不動産(所有権を巡って係争中など)はリスクが高く担保になりません。

差押え」「仮処分」などの登記がついているものも論外です。

また、買戻特約代物弁済予約が付いた不動産も第三者の権利が絡んでくるので難しいです。

こうした権利トラブル物件は金融機関側も手を出しません。

既に先順位抵当がある物件

多くの金融機関は担保に取るなら第一順位の抵当権が条件です。

つまり他社の抵当権がついていないことが前提です。

住宅ローン返済中の家などは既に銀行が第一抵当を持っています。

この場合、新たな不動産担保ローンを組むには、既存ローンを完済(借り換え)して第一順位を空けるか、既存ローンの銀行に新ローンを劣後承諾(二番抵当を認めてもらう)してもらう必要があります。

しかし二番抵当以下を嫌がる金融機関も多く、基本的には順位単独一番でないと厳しいです。

共有持分のみ

共有不動産全体でなく、自分の持分だけ担保にという場合です。

これは実務上まず無理です。

他の共有者の協力が不可欠ですし、持分だけ競売にかけられても買い手が付きにくいからです。

したがって、共有物は共有者全員が揃って担保提供しないと難しいと覚えておきましょう。

以上、「担保にできるものできないもの」を見てきました。

判断に迷う場合は、申し込む前に金融機関に物件内容を伝えて相談すると良いでしょう。

その物件でしたら担保提供可能です」「それはちょっと難しいかもしれません」と教えてくれます。

なお、担保にできる不動産の種類は取り扱う業者により異なります。

ある会社で断られても、別の会社ではOKという場合もあります。

例えば都心マンションを得意とする業者、地方物件も積極的に扱う業者、事業用専門の業者など様々です。

自分の不動産にマッチした業者選びも大切と言えるでしょう。

不動産担保ローンを利用する際のチェックポイント

  • 担保に出す不動産の登記簿を確認し、権利関係に問題がないか把握しておく。
    (抵当権や差押の有無、所有者名義など)
  • 固定資産税評価額や路線価を調べ、だいたいの評価の目安を掴んでおく。
  • もし担保余力がある(既存ローン残高が少ない等)なら、その点を金融機関に伝える。住宅ローン返済中でも担保余力次第では借入できる場合があります。
  • 所有している複数の不動産をまとめて担保提供することも可能なので、必要額に応じてどれを出すか検討する。
    (例えば自宅と別荘両方担保に入れて希望額を借りる等)
不動産は人それぞれ異なる大切な資産です。
その資産価値を正しく理解し、担保提供可能かを見極めることが、不動産担保ローン活用の第一歩と言えるでしょう。